メアリのアイドル活動記

セリンディアのアイドル、メアリのつれづれな日々。

小説4 Ohka血盟会議

アジトの、最奥。

そこにOhkaの会議室はある。

その手前の扉で、セリアは振り返った。

「アリス、ありがと。

ここまででいいから、あとは自由にしてて」

ゆっくり微笑みながら言うと、アリスは無表情のまま頷き、

「バイバイ」

そう言って踵を返した。

目にかけ始めてから、それなりに長い。

人見知りも少しはマシになってきたように思えるが、それでも、この挨拶は少しだけ寂しいな、と思う。

「行こうか」

グラントの声に、セリアが隣のタカに目を向けると、タカは頷き、扉を開けた。

「おはよぉ」

この血盟の幹部は全員間の抜けた声なのだろうか?

…いや、そんなことは無いのだが。

血盟主の挨拶に、思い思いの挨拶を返しながら席に着く。

席は全部で6つ。

内2つは空席だ。

騎士団長

テンプルナイト:セリア、ブレードダンサー:タカ

親衛隊長

ビショップ:ペルマ

副血盟主

パラディン:グラント

血盟主

ブレードダンサー:マルティージョ=マッレウス

本来であれば親衛隊長と騎士団長がもう1人ずついるのだが…

「ヨシノさんとカフカさんは出張中ネ」

レウスが告げると、まぁそうだろうな。と納得したような空気が流れる。

あの2人は何かと出張が多い。

1人は密命を受けて、1人は…戦闘狂なので、その度に出るのだ。

「じゃ、今日も4人の会議かー」

「はいはい!セリアから報告!」

どこの血盟がどういった動きをしているか、この動きに対してどんな動きをするか。

毎週末に行われる模擬戦ではどこを攻めるか。

また、血盟に対しての要請が来ている場合にはレウスより説明が下される。

今回は特に急を要する報告もなく、頭の片隅においておけばいいような報告が続く。

「さて、では今週の褒賞は?」

レウスの促す声に、各自が少し考えた上で

「セリアの推しは、になにーと、ライライかな!頑張ってるみたいだし!」

「俺もニナさんはいいと思うな。グラントはニナさんに投票で。」

「自分はカブトさんですね。目立たないですが頑張ってますよ」

「あー!カブカブも、捨てがたいっ!!」

セリアがぺちん、と額を叩いて苦悩する。妙に楽しそうだ。

「俺は…」

腕を組み、瞑目していたペルマが目を開く。

「ヨシノさんがいいと思うな。最近出ずっぱりだろ?」

ふむ…と、全員が考え込む。

確かに。目につかない所なので気づきにくいが、彼がいないのは基本的に任務の為だ。

血盟の為に個を殺して働く彼に何かしらの褒賞はあるべきだ。

さすがはOhka、いや、ルナ大陸のビショップ最強を誇るペルマだ。

人はその強さに敬意を持ち、こう呼ぶ。

ペルマ先生

と。

本当に…強く、優しい親衛隊長なのだが…。
いや、それはいずれわかるだろう。

「ワカタヨ」

なぜかカタコトに聞こえる、独特のイントネーションでレウスが締める。

「ぢゃあ、ヨシノさん、になにー、カブさんにそれぞれ褒賞を大目に渡すことにするヨ。

今週もおつかれ!」

「「「おつかれさまー」」」

会議は終わる。

グラントは眠そうに部屋を出て行き、ペルマもサクサクと部屋を去る。

セリアも立ち上がると、タカも合わせたように立ち上がり、2人で部屋を出た。