小説3 血盟Ohka
血盟Ohka。
アデンのルナ大陸において、それなりに力を持つ血盟の1つだ。
残念ながら上位というわけではない。中には実力者はいるのだが…しかし、上位には一歩及ばない。それでも、中の上。その程度の実力はある血盟だろう。
そのOhkaのアジト。
セリアとチヒロを引き連れ、ニーナは朝食を取るために食堂へとやってきた。
「おや、おはよう」
爽やかな笑顔を浮かべて、カウンターの中にいた男性が振り返る。
「おはようございます。コルルさん、グラさんも」
「うむ。はよー」
食堂の主、コルルと向き合うように座る大柄な壮年の男性も、ニーナの挨拶に首を回す。
ちまちまとツマミを食べながらグラスを傾ける、グラント。
Ohkaの副盟主である。
「ドンカツください!」
「ありません♪」
背伸びをしながらカウンターにへばり付き、注文をするチヒロを笑顔のまま流すコルル。
「グラさん、朝からビール〜?」
「夜勤明けだよー。眠い…」
グラスを覗き込みながらのまもんの隣に座るセリア。
そんな血盟員達を横目に見ながら、カウンター席に座り、ニーナはコルルに朝食の注文を行う。
Ohkaの朝が始まった。
「になにーは今日はなんか予定あるの?」
気づけば自分の食事を終えたセリアが隣に座っていた。
グラントはまだビールを煽っているが少し酔い始めたようだ。
普段はもう少し強いはずなのだが…疲れているのだろうか。
「えぇと、今日は特には…狩りでもしていようかと」
つまみ食いでもしようとしたのか、ニーナの食事に伸ばされた手をペチリと叩きながら返すと、セリアは手をさすりながら首を傾げた。
「狩りか!うーん、セリアも一緒に行こうかなぁ…」
……暇なのだろうか?
最近はOhkaも血盟として安定しているせいか平和が続いている。
「いいね、僕は夕方、まだやっていたら混ぜてもらいたいな」
コルルがニコニコしながら頷く。
「チーは?」
「私は勉強!もうすぐテストだからね!」
フンス!と鼻息荒く答えるチヒロは朝食を頬張る。
「おはようございまーす」
「おはよう」
新たに響く声に目線を向けると、騎士団長のタカと血盟員のアリスがちょうど食堂に入ってくる所だった。
「あれー?珍しい組み合わせ」
セリアが首を傾げる。
確かに見かけない組み合わせだ。
特にアリスは基本的に1人か、セリアとしか行動しない。
いわく、人見知りだとか。
「セリア。呼ばれてる」
「会議だそうだよ。グラさんもいるならちょうど良かった。レウさんが呼んでいますよ」
それぞれが理由を答える。
Ohkaは細々としたことを幹部陣の多数決の上で、総意として決定させていく。
もっとも、会議といっても、意見が割れることはそうそう無いそうなのだが。
それにしても、このトボけた自称天使が騎士団長というのも、なかなか信じられないが。
「あれー?朝から?夜じゃないの?」
「レウさん、忙しいみたいだね」
「酒飲んじまったよ…ねみぃ」
立ち上がるセリアとグラント。
さりげなくアリスがセリアの後ろへ移動する。
「あー…ごめん、になにー。狩りはまた今度でっ!」
約束していたわけでもあるまいに、手を合わせて謝るセリアを、ニナは苦笑しながら見送った。3